初夏の雑念

えーと、最初はあれだ。「い・け・な・いルージュマジック」(1982)。

 みんな見ていた「ザ・ベストテン」。そこのスポットライトで登場した化粧の男2人。子供心になんつーかインモラルなものを見た、という記憶が。


ザ・タイマーズの「デイ・ドリーム・ビリーバー」(1989)はエースコックのスーパーカップのCMソングでした。

 グラッチェ、グラッチェのほうだっけ、そっちは「ザ・花びら」のほうだっけ。

 「夜のヒットスタジオ」での伝説となった事件は、地方出身者の自分には知るよしもなく、その後で「週刊新潮」で知りました。おっさんみたいだ。


次は大槻ケンヂ。「ai-ou」という彼が主演した映画(1991)で、「スローバラード」がエンディングに使われていました。

 この映画、堤幸彦監督だったんだなあ。


電気グルーヴが「オールナイトニッポン」での企画ものでやった「子門'z」のカバーとして選んだのが「トランジスタ・ラジオ」(1993)。

 石野卓球はこの曲を選んだ理由として「何の思い入れもなかったから」と答えていたはず。

 とはいえ、後に「Cafe de 鬼は電気にとっての『雨上がりの夜空に』」と言っているのだから、全くこの言葉が本当だとは思えないけど。


細野晴臣鈴木茂林立夫と再び組んだ「Tin Pan」(2000)。ここに収録された「Hand Clapping Rhumba 2000」では大瀧詠一のカバーでボーカル・作詞として参加。


…どうでもいい話ばかり長くなってしまった。他にも「HIS」とか井上陽水とか矢野顕子とか、数えきれないくらい、かの人の歌やカバーを聴き、文章を目にしているのだが、それでも、かの人自身のCDを手にとることがなかった。あの曲もあの曲もあの曲もあの曲も聴きたい、となると最初にどれを聞けばよかったのかわからなかったのだ。しかもFLYING KIDSのベストアルバムの推薦文にこういうことを書いてしまう人なので、

浜ちゃんのソロ・アルバムは素晴らしい。フライング・キッズよりぜんぜんいい。

フライング・キッズのベスト盤なんか買わないで浜ちゃんのソロを2枚買おうぜ、ベイビー!

いつもそうなんだ、必ず前のレコード会社が同時にベスト盤を出して、新作のじゃまをするんだよ。

それが、この世界のキマリだ。俺もいつもそんな目に会ってる。だから言わせてもらうぜ。

浜ちゃんのニュー・アルバムはフライング・キッズのベスト盤よりぜんぜん素晴らしい。月とスッポンさ。

なかなかベストアルバムに手を出しづらかったのですよ。


…そんななか、立ち寄った中古CD屋で「Grad All Over(ASIN:B000CBO14I)」を見つけてしまい、「ああ、そろそろ聴かねばならんなあ。」といろいろと迷ったあげく(どのライブCDが一番いいいのかをウェブサイトでチェックして)「The Tears of Clown」を買う。

THE TEARS OF A CLOWN(紙ジャケット仕様)

THE TEARS OF A CLOWN(紙ジャケット仕様)

こんなこと今書くのも恥ずかしいのですが「やっぱりすごいなあ」と。もう少しいろいろ聴かんといかんなあ、と思った矢先の訃報でした。


今回の訃報を受けて、さまざまな人がさまざまな文章を書き、さまざまな動画をピックアップしています。そんななか、RCを聴いて育った、というわけでもない末端な男がこんな文章を書くのもお恥ずかしい限りなのですが、裾野の裾野、ということでご勘弁ください。

まったくもって手遅れなのだが、ライブを一度見ておくんだったなあ。チャンスはいっぱいあったはずなのに。


忌野清志郎さんのご冥福をお祈りします。